梅毒が急増しています。
全国の感染者数が、2020年5,784人 2021年7,134人、2022年には7月3日までに5,615人と年間患者数が1万人を超えるペースになっています。
男性の感染は異性間性的接触が60%、同性間性的接触が18%で20歳代~40歳代で増えています。
女性の感染は異性間性的接触が80%で20歳代で増えています。
不特定多数の人と性交渉した人や、性風俗サービスの利用者・従事者は知らないうちに感染している可能性があります。
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌による感染症で、性行為により粘膜や皮膚の接触で感染します。
感染すると、性器や肛門、口にしこりやきずができたり、全身の発疹がでたり、リンパ節が腫れたりします。
これらの初期症状は軽く、感染に気づかずに放置すると症状が消えることがあります。
けれども、治療が遅れると、数年後に脳や心臓に障害を起こすこともあります。
治療にはペニシリン系抗菌薬が有効であり、完治する病気です。
感染が疑われる症状がある場合は皮膚科に受診してください。
感染から1年未満の梅毒で、性的接触での感染力が強いとされます。
梅毒トレポネーマが粘膜や皮膚に侵入すると、通常 1 か月前後に、感染局所の性器や肛門、口に丘疹、 あるいは皮下結節ができます。
(初期硬結)
初期硬結は自壊し、びらん、潰瘍となりますが痛みがないことが多い。
(硬性下疳)
その後、所属リンパ節腫脹を伴います。
RPR は陰性であることが多いため、 感染初期が疑われる場合などでは2~3週間後に再度検査します。
1~3 か月後に梅毒トレポネーマが全身へ散布され、全身の皮膚、粘膜に丘疹性梅毒疹、梅毒性乾癬、バラ疹、肉芽腫、梅毒性脱毛症などの発疹がみられ、中枢神経、眼、肝臓、腎臓など全身の臓器にも症状を呈することがあります。
早期梅毒の皮疹は、無治療でも数カ月で消えることが多い。
感染から数年後に進行した活動性梅毒、心血管症状、ゴム腫、進行麻痺、脊髄癆など、症状は冒されている臓器によって様々です。
無症状のこともあります。
性的接触での感染力はないとされます。
RPR法(通常16倍以上を高値とする)とTPHAの組み合わせで検査を行います。
ペニシリン系抗菌薬が有効であり、完治できる病気です。
アモキシシリン1,500mgを、「第1期:2~4週間」、「第2期:4~8週間」、「第3期以降:8~12週間」、内服します。
ペニシリンに対するアレルギーがある場合は、ミノマイシンまたはビブラマイシンを、「早期:4週間」、「晩期:8週間」、内服します。
梅毒は終生免疫が成立せず、治癒後も再感染することがありますので注意が必要です。
TPHAは年余にわたって高値が持続するため、治療後の経過観察はRPRで行います。
治療効果の判定は、RPR の抗体価の4分の1以上の低下を指標とします。